昨日、外来診療していたら当院に通院中のお二人の方が「体がピリピリしてすごく痛い」と来院されました。
一人の方は「右胸から右背中」にかけて、もう一人の方は「左の臀部から左大腿」にかけて、発赤を伴った水疱がありましたので、帯状疱疹と診断し、すぐに抗ウイルス薬で治療を開始しました。
経口の治療薬も以前は1日10錠を5回に分けて、内服しなくてはいけなかったので大変でしたが、最近の薬は副作用も少なくなり、2錠を1日1回内服すれば良くなったので、治療は大分楽になりました。
しかし、帯状疱疹を予防できれば、それにこしたことはありません。
海外であれば、帯状疱疹予防ワクチン(ZOSTAVAX)というワクチンがありますが、日本では水痘ワクチンが帯状疱疹予防に効果があると認められています。
日本の水痘ワクチンの方が、海外の帯状疱疹ワクチンよりも、予防効果が高いとするデータもあります。
帯状疱疹の患者さんは、50、60歳代から増えてくるので、50歳以上の方が対象になっています。
あまり高齢になって接種しても、免疫反応が誘導されにくくなっているので、なるべく若いうちに接種した方が良いと思います。
接種後約10年間程度、予防効果があるといわれています。
また、帯状疱疹に罹った後に発疹は消えても、神経痛だけ残る「帯状疱疹後神経痛」の方にもワクチン接種することで、痛みが6割、7割改善することが期待できます。
周囲の方で、帯状疱疹に罹って苦労されている姿を見ている方は、帯状疱疹のひどさが理解できるのですが、見たことのない方はピンとこないかもしれません。
院内に「帯状疱疹予防ワクチンあります」というポスターを貼って啓蒙活動はしていますが、当院にかかりつけの方が帯状疱疹になるのを拝見するたびに、「予防接種をお勧めしておけば良かったな~」と思います。
しかし現状では、帯状疱疹予防のための水痘ワクチンは全額自費(施設によって差がありますが、8000円~1万円程度)で、割と高価なので簡単にお勧めするわけにはいきません。
当院ではなるべくたくさんの方に接種して頂きたいので、7000円+税で接種しています。
今の水痘ワクチンは生ワクチンですが、海外ではサブユニットワクチンといって生ワクチンではなく、現状のワクチンより予防効果が長くなるようなワクチンも発売されています。
将来的には、50歳以上の方の定期予防接種になり、全員に無料で接種できるようになればいいなと思います。
左顔面の帯状疱疹です。ほぼ額の正中で紅斑と水疱が分かれています。
顔面にできた場合は、入院治療で抗ウイルス薬の点滴治療が必要なケースが多いです。
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