最近、はしを持つ手が震えて困る。手が震えて、字を書くことができない。グラスをあわせて乾杯ができない。と悩まれてご相談に来られる方がいます。
それは「本態性振戦」という病気かもしれません。
年配の方に多いのですが、20代の方に出現することもあります。
60歳以上では、約5%の有病率ともいわれています。珍しい病気ではありません。
「手の震え」というとパーキンソンではないかと心配される方が多いのですが、
以下の点で違います。
<本態性振戦>
●首が左右に揺れる(イヤイヤ振戦:イヤイヤしているように見えるので)
●企図振戦(何かしようとすると震える)
●両側同じように震える
<パーキンソン>
●首が上下に揺れる(イエスイエス振戦;うなずいているように見えるので)
●安静時振戦(手を膝の上に置いている時に丸薬をこねるように震えている)
●震えに左右差がある
「本態性振戦」がひどいと、人前で食事が出来なくなる、結婚式、お葬式などで記帳ができなくなるなど、外出自体が億劫になり、引きこもってしまうケースがあります。
引きこもってしまうと、下肢筋力が低下していわゆるフレイルの状態になり、最後は寝たきりという残念な結果になってしまいます。
治療薬は保険適応になっているアロチノールをはじめ、いくつかの種類があります。
また最近では、「本態性振戦」の原因となっている脳の視床腹側核に超音波をあてて、脳の視床腹側核の興奮を抑えるという新しい治療方法もあります。(現在は保険適応外の治療方法)
震えにお悩みの方はどうぞご相談ください。