先日の日曜日、日本内科学会生涯教育講演会@国際フォーラムに出席してきました。
そこで「高血圧治療ガイドライン2019のエッセンス」という演目で伊藤貞嘉先生のお話を聞きました。大変勉強になりました。
現在、日本の高血圧患者は約4300万人いますが、そのうちの半数しか治療されていません。
さらに、血圧が140/90でコントロールされているのは、全高血圧患者の3割にも満たないとの事です。
我が国は世界屈指の長寿国ですが、平均寿命と健康寿命が、男性では約9年、女性では約12年ギャップがある事が問題になっています。
簡単に言うとこのギャップの期間は、寝たきりの期間といっても良いでしょう。
この原因となっているのが、「脳卒中」「心不全」「認知症」といった高血圧関連疾患である。
そこで高血圧対策を今一度検討し、作られたのが、新しいガイドラインです。
①130/80~139/89レベルの血圧は、もはや正常ではない
② 疫学的にも120/80 以上では心血管死のリスクが上昇する
③ 降圧目標を75歳未満;130/80未満 75歳以上;140/90未満とした
④ 生活習慣の再度の徹底する事で、薬剤効果が高まり、降圧目標に近づく
⑤ 高齢者は年齢だけでは測れない部分も多く、個人個人の多様性が大きい
⑥ 高血圧治療の標準化をはかるために、ガイドラインを利用した高血圧治療を実践していく事が、健康寿命と平均寿命を近づける事になる
当院でも、ガイドラインを遵守しながら、その方個人個人にあったお薬を選びながら、無理なく降圧目標値まで下げていくお手伝いをしたいと思っています。